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《緑ヶ丘の住宅》(設計=長谷川逸子、1975年竣工)を訪問。取り壊しを目前にした最後の見学会(→概要&平面図)。長方形の平面を中央の壁が斜めに二分する。その(間取りとして機能的でもある)1枚の壁の傾きによって建築全体の空間が定型を外され、体験者の知覚が揺さぶられ、事物が活性化する。造り付けのベンチや大橋晃朗さんによる家具などの共通点も含めて、建築の抽象化されたあり方に同時期の坂本先生の作品──《雲野流山の家》()や《代田の町家》()と似たものが感じられるけど、どちらかというと坂本先生のほうがまだ慣習的な空間性が残っていて、長谷川さんはより抽象度が高い。その空間構成の自由さが、ある種の「建築の解体」を進めた長谷川さんの80年代の展開の原動力になっているようにも思われる。
以下、写真3点。斜めの壁による空間性を写真で捉えるのは極めて難しい。人物を外すよりむしろ利用したほうが、空間の立体感やダイナミズムを表現するのにうまくいくかもしれない。

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