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新型コロナの影響で延期されていたqpさんの個展「明るさ」を新宿区下落合のAlt_Mediumで観た(〜6/30)。去年の個展「セルヴェ」(2019年9月14日)で発表されたセル画とはまた大きく変わり、水彩の小品群。セル画のときはデザイン的・複製芸術的な「装飾考案」に自分のライフワークを見いだしたというようなことを言っていたけれど、今回はまた一回性・一品性の強い表現に戻っている。セル画の作品は媒体としてまだまだ展開する可能性があると思うのだけど、この移り気の多さ(根気のなさ)もqpさんらしい。
展覧会に合わせて出版された作品集『明るさ』(DOOKS、3200円+税)と写真集『メイキング 明るさ』(sign and room、1200円+税)を会場で購入した。独立した本の価値とは別に、どちらも今回のqpさんの作品と展示を考えるためのよい参考資料になると思う。むしろqpさんが求めている明るさや軽さや儚さ、自由さの表現は、実在の物体である作品よりも2次的なメディアであるはずのこの2冊のほうが強く感じさせるかもしれない。とくに『メイキング 明るさ』のほうをわざわざ出版するというのは、qpさん自身もそのことを多少なりとも自覚しているからだろう。前作のセル画を、物質性や実在性を減じて、ある現象やある状態をそのままメディアに定着させようとする表現と捉えれば、qpさんの志向は確かに一貫している。
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