取材・編集を担当した『公益財団法人佐々木泰樹育英会2023』が完成しました(A4変型判、40頁)。設立者である佐々木泰樹理事長へのインタビューから出身者の活動紹介まで、謎の財団の全貌を捉えています。少部数の非売品ですが、来月にはPDFでネット公開の予定です。

デザインはアトリエ・ワン出身、neucitoraの刈谷悠三さんで、印刷は『建築家・坂本一成の世界』(LIXIL出版)などでも協働している加藤文明社。書籍でもパンフレットでもない、フォーマルな自己紹介のカードのような佇まいで、今回の出版企画の目的にふさわしいデザインが実現できたと思います。


この財団はこれまでまとまってパブリッシュされたものがなく、おそらく関係者のなかでも共通のイメージはおぼろげだったと思いますが、その活動に初めてかたちを与えるものとして、今回の制作には責任の重みがありました。と同時に、そうしてかたちのないものにかたちを与えることこそ出版の初源的なあり方であるとも感じ、単なるクライアントワーク以上の興味深い経験になった気がします。
2016年設立で奨学生出身者はまだ多くないですが、建築専攻ではすでに実作として建築を建て始めている高藤万葉さん&小滝健司さん(TOASt)、齋藤直紀さん(GROUP)、福留愛さん&殿前莉世さん(iii architects)の仕事を紹介しています。また、普段メディアであまり取り沙汰されることがない独立前後の方々にも話を聞き(寺田慎平さん&岩本早代さん&山田陽平さん&下田悠太さん)、そちらもこれから建築の道に進む人たちにとっての参考になるとともに、年長の建築関係者に対しては若い世代の状況や問題意識を示す記事になったのではないかと思います。