朝倉加葉子『羊とオオカミの恋と殺人』(2019)をインターネットの無料動画GYAO!で観た。先日読んだ(2021年5月26日)フィッシュマンズについてのエッセイを書いた映画監督の作品。この手の最近の邦画として質が低いわけではないと思うし、監督のセンスや実力も感じさせる。ただ、漫画原作のストーリーは設定が過激なだけで深みがなく、映画としてはそれ以上どうにもならないのではないかという印象を受ける。だから丁寧に全体の完成度を上げるような作り方ではなく、なんらかの方向に振り切るような作り方のほうがよかったような気もしたけれど、それがこういう映画の観客や製作者に望まれていることなのかどうかは分からない。ふだんはこういう映画を観ても特になんの疑問も抱かないものの、あのフィッシュマンズについての力のこもった文章を書いた人が手がけているとなると、いろいろ考えてしまう。佐藤伸治ならなんと言うだろうか。