みずしらずの人による写真集のランキング(順不同?)。号外『建築と日常の写真』がすごい並びに入っていた。

編集者という肩書きを掲げていることもあってか、そもそも写真作品として観られることがあまりない気がするので、なんであれ写真に関心の深い人が評価をしてくれるのはうれしい。普通こういうランキングでは選者の名前や選評の内容、あるいは投票者の数が大きな意味を持つだろうけど、ここにはそのどれもない。しかし「好きな写真集」として他に挙げられているタイトルを眺めてみると、なんとなしにその評価を信頼できる(手に取ったことがない写真集がほとんどであるにもかかわらず)。僕には好きな写真集を25冊も挙げることはとてもできない。
『論語』より、子曰わく「知之者不如好之者、好之者不如楽之者」(それを知る者はそれを好きな者には及ばない、それを好きな者はそれを楽しむ者には及ばない)。前に「好き」ということの意味を考えたことがあった。

考えてみると何かを「好き」であることはわりと重要なことだったなと思った。つまり、外部の評価や世俗的・政治的な関係性などとは無縁に、作家や作品そのものと自分とが固有に結びつき、親しんでいること。例えば僕のことをある程度知っていて、川島雄三のことも知っている人ならば、「まあ、長島さんは川島雄三好きそうですよね」と結びつくのではないかと思う。それは僕にとってはすこし恥ずかしいことでもあるのだけど、何かを「好き」であることは、大げさに言えばその人の生き方までそこに投影される。むしろ何かを本当に「好き」であることが感じられない人はあまり信用できない気がするし(とりわけその人が芸術や学問に関わっている場合)、何かを「好き」である人ならば、その「好き」がお互い重ならなくても、楽しく話ができる可能性がある。