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国立近現代建築資料館「吉田鉄郎の近代──モダニズムと伝統の架け橋」展を観た(〜2/11)。名前の表記を「鉄郎」にするか「鐵郎」にするかは議論があったそうだけど、結局現時点における一般性を優先させたらしい。図面を中心にした充実の展示で、少なくとももう一度は訪れて、じっくり観る必要がある。
去年の『建築と日常』No.5()での吉田鐵郎の記事(全26ページ)とは相補的な内容と言えるかもしれない。タイトルが示すように、この展覧会では吉田鐵郎を歴史的・時代的な枠組みのなかで捉えようとしているけれど、『建築と日常』では建築家本人や周囲の人たちの言葉を多く参照しつつ、むしろ歴史や時代の枠組みを超えて実感できる存在として、吉田鐵郎を人間的・思想的に捉えようとしていた(そのスタンスの違いは展覧会と雑誌というメディアの違いでもあるかもしれないし、プロとアマチュアの違いでもあるかもしれない)。
図面を読むのが苦手な僕でもこの展示にこれだけ興味が持てるのは、やはり去年の特集で吉田の人間像をはっきり掴むことができたからだと思う。人間を知っていると、その人の創作物により深く触れることができる気がする。だからこの展覧会に興味を持っている人には『建築と日常』No.5を読んでから観に行ってほしいし、展覧会を観て吉田に興味を惹かれた人には『建築と日常』No.5を読んでほしい。利己的な宣伝目的としてだけでなく、そう思う。国立近現代建築資料館にショップがあれば、ぜひ雑誌を置いてもらいたかった。