以前から気になっていた東武ワールドスクウェアへ初めて行った。「栃木県日光市東武ワールドスクウェアは、世界の建造物や世界遺産を25分の1のスケールで再現した世界建築博物館です。」「47の世界遺産を含む、世界の有名建築物102点。一日でめぐる世界一周の旅。」というもの。

去年『建築と日常の写真』()を刊行してから写真を撮る意欲が妙に湧いてきて、それがここに足を運ぶ大きな動機にもなっていると思う。このところ日光も雨が続いていたようだけど、今日は晴れて良かった。全体で「現代日本ゾーン」「アメリカゾーン」「エジプトゾーン」「ヨーロッパゾーン」「アジアゾーン」「日本ゾーン」とあるうち、やはり「ヨーロッパゾーン」がもっとも面白い。たくさんの写真を撮影した。いわゆる西洋建築は他と比べて地域的・時代的な範囲が広く、かたちもそれだけヴァラエティに富んでいるわけだけど、あるいは建築そのものの性質として、オブジェクトとしての自律性が高く、縮減模型にしたときにも写真映えするという傾向があるのかもしれない。
ただ、いま振り返ってみると、3時間くらいの滞在で写真を撮ることばかりに気が行って、それぞれの模型を通して元の建築のことを考えるのがおろそかになってしまったと思う。容易には訪れることができない世界の名建築が集まっているなかで(僕が行ったこともないのに講義で話しているような建築も含まれる)、もったいないことをした気がする。通常の建築展ならば、展示されている模型からその建築の空間性や全体構成の意味を読み取ろうとするのに、ここではそういう意識がほとんどなかった。しかし自分の怠惰を棚に上げていうと、これはもしかしたら東武ワールドスクウェアの模型の有り様にも関係しているかもしれない。一般的な建築展の模型では素材感や装飾などの要素が捨象され、建築が抽象的に表現されるのに対し、ここの模型は可能な限り精密で具体的な再現が目指されている。建築模型における抽象性はその模型を通して元の建築への想像を促すけれど、ここの模型の具体性はそれ自体が完結した物として鑑賞者を充足させるのではないか、そんなことを考えた。まあいずれまた忘れたころに訪れてみたい。以下、写真6点。






今日はこの後、小学校の修学旅行以来になる日光東照宮へと向かった。