西山功一「消えてしまわないように」展(〜10/8)の関連トークイベントに参加した。僕が「建築の存在をいかに写真に写すか」というようなテーマで30〜40分程度のレクチャーをし、そのあとにすこしだけ西山さんやお客さんとの対話。展示は3日前の初日(9月11日)に観たものの、それ以前はどういう内容になるのか分からなかったので、会場であるHAGISOの建物を撮影した写真で構成することになるという西山さんの話と、展覧会の「消えてしまわないように」というタイトルから、大まかに見当を付けて準備していった。建築写真には水平垂直で全体を客観的に写そうとする形式性があり、それがあまり強くなってしまうと目の前の建物の存在を捉え損なうけれど、その形式自体は物の存在を捉えるのに有効なのではないかといった話。以前の日記(3月16日)で書いたことが起点になっている。
参照したのは自分で撮ったいくつかの写真のほか、多木浩二中平卓馬の言説、ウォーカー・エヴァンスとベッヒャー夫妻の正対写真、小津安二郎のバストショットなど。小津安二郎の映画に対する下の指摘は、エヴァンスの写真に見られる存在の具体性・絶対性と、ベッヒャーの写真に見られる存在の抽象性・相対性の響き合いのようなものと理解できるのではないかと思う。