《ピアノ室のある三軒長屋》(設計=能作文徳)を見学。1階RC造、2階木造の混構造。オーナー住戸に2戸のメゾネットの賃貸住戸が連結する。質感のある多彩な素材や障子の多用などに、能作さんが去年の「日本の家」展(2017年7月18日)で《斎藤助教授の家》(設計=清家清、1952年竣工)の原寸模型の設計を担当した経験の影響がどことなく窺える。とはいえ畳はなく、《斎藤助教授の家》と比べると各室の重心は高い。
実際は1+2戸にもかかわらず、ファサードは4戸が均等に連続するように見せるレトリカルな構成。ただ、《西大井のあな》(5月8日)の「あな」にしても、この《ピアノ室のある三軒長屋》の「長屋」にしても、そこをタイトルに掲げてテーマ化してみせる手つきにはややぎこちなさがあるかもしれない。外観は濃いグレーのガルバリウム鋼板でクールな印象だけれども、内部でこれだけ多彩にできるのなら、外部ももうすこし洒落っ気を見せてもよかったのではないかという気がする。