谷口吉郎への興味の続きで、ずいぶん久しぶりに千鳥ケ淵戦没者墓苑(設計=谷口吉郎、1959年竣工)を訪れた。むかし来たときは捉えどころがない建築のように感じた覚えがある。しかし東京国立博物館東洋館(1月20日)と同様、谷口に対する最近の贔屓目もあるかもしれないが、今回はなんとなく空間のあり方がしっくりくる。言語化しづらいという意味では引き続き捉えどころがない建築には違いないけれども、ある秩序づけられた場所がつくられているという感じはする。

以下は九段下の駅から向かう途中、お堀越しに眺めた解体中の九段会館(旧軍人会館、設計=川元良一、1934年竣工)。谷口吉郎は少なくとも同時代においてはこのような帝冠様式を認めていなかった。戦後の評価はどうだったろうか。