建築と日常 No.5

『建築と日常』No.5の「平凡建築」特集では、例えば坂本一成先生や長谷川豪さんが言うような「作品化(異化)された平凡」の有効性にも注目していたけれど、それに限らず、その作品化と対立するような「普通の平凡」にも価値を見ようとしていた。坂本先生はそこまで含めて特集の意義を認めてくださったし、長谷川さんも面白いと言ってくれたけど、作品化と対立すると言うと、人によってはすごく反動的に聞こえてしまうかもしれない。ただ、僕はその作品化と無縁の平凡も認めることで、その上でなされる作品化という行為の価値もより確かなものになるという気がする。これは一昨年(2016年9月6日)のトークの後書きで引用した服部一成さんの言葉、「デザインがないほうがいいこともいっぱいありますよね。デザイナーがデザインしたためにうっとうしいというか、こんなところにデザインしなくてもいいのにということもいっぱいある。」()と通じる意識ではないかと思う。