建築と社会を結ぶ―大髙正人の方法

上記の展覧会の開会式・内覧会に参加。前にそれとなく触れたことがあったけど(3月10日)、資料用に行なわれた関係者へのインタヴューを文字に起こす仕事を請け負っていた。それらの映像は適宜編集され、字幕が付いて、会場の各所で流されている。僕が担当したのはインタヴュー8本分(10数時間)で、聴きながらずいぶん勉強になった。
大髙正人については、代表作の一つである《広島市基町団地》(1969-78年、上の写真の模型)には、9年くらい前に広島へ行ったとき訪れたことがあるのだけど、それほど気に留めていた建築家ではなかったし、あまりよく知らなかった。しかし今回、近しい関係だった方々が語る大髙正人に接し、その存在が生き生きと感じられた。実際の建築の作り方もさることながら、その根底にある理想的な社会や共同体をめざすロマンティシズムとリアリズムの葛藤みたいなものに、とりわけ興味を惹かれた。「建築と社会を結ぶ」という展覧会のタイトルはいくぶん今日的だと思うけれど(社会には良い社会もあれば悪い社会もあるだろうし、そもそもすべての建築は社会のなかに存在するとも言える。大髙の意識の中心は、あくまでより良い社会に建築で寄与するということだろう)、事実「大髙正人の方法」として、その活動の軌跡は一つの客観的な参照元になるほどの確かさを持っているように思える。以下写真3点。