鎌倉の神奈川県立近代美術館で、「鎌倉からはじまった。1951-2016」展のPART 3「1951-1965「鎌倉近代美術館」誕生」を観た(〜1/31)。坂倉準三の設計で1951年に竣工したこの建物での最後の展覧会。わりと最近も来た気がしていたけど、もう2年以上前のことだった(2013年8月29日)。
やはりモダニズムの名作だと思う。敷地が鶴岡八幡宮の境内で、環境との調和ということはよく言われるけど、それもあくまで建築の明晰な幾何学性を介しての調和であることが肝心ではないだろうか。自分がいるその場が、建築の確かな骨格の存在によって、環境の広がりのなかで観念的に位置づけられる。今回、中3階の旧学芸員室(喫茶室の上部)に上がれたことも、(その部屋単体はどうということはないのだけど)そういった全体の構造性を把握する意味でよかった。
ただ、そのような強い骨格をもつ建築だからこそ、その構造性の重要な鍵になっている中庭中央のイサム・ノグチの彫刻(《コケシ》1951年)が、もしも美術館閉館後に撤去されることになると、(ただ単にひとつの作品あるいは物体がなくなるという以上に)建築の体験にもそれなりの影響を及ぼすのではないかという気もした。