テレビで放映していた、マーク・ウェブ『アメイジングスパイダーマン』(2012)を観た。テレビ用に吹き替えだったりCMを挟んでいたりしたせいもあったかもしれないけど、それほどひどいというわけではないにしても、なんとなく全体として散漫な印象を受けた。サム・ライミ版のほうが全一的な作品世界がかたちづくられている感じがする。ストーリーはかなり重なるところもあるので、すでに世間で一定の評価を獲得したサム・ライミ版との差異を出すために、物語の要素を断片化して再構成するような作り方がされたのだろうか(内側から膨らませていくというよりも)。前作の『(500)日のサマー』(2013年1月5日)の作り方を考えると、そんな気もしてしまう。鑑賞者に対しても、どこかサム・ライミ版を観ていることを前提にしているような他律的な雰囲気があって、スパイダーマンという大衆的でベタな物語に取り組むには、そのような相対主義的な思考は向いていないのかもしれない。