最近カメラを買い換えたqpさんの写真。

フェンスの向こうを覗くような構図はqpさんの写真によくあるし、あちらとこちらに隔てられた領域という点で『窓の観察』()とも通じる。ただ、今回は「こちら側」の人も撮っているぶん、qpさん自身が「こちら側」の人間だという印象は薄い(フェンスの外から眺めている人が他にも多いので、ある種の安心感がqpさんにあり、覗き見的な緊張感が薄かったということも考えられるかもしれない)。女子を中心とした小中高校生(あちら側)への憧れにも似たqpさんの特別な思いはあらためて言うまでもないけれど、本来qpさんが位置しているはずの「こちら側」の人まで他者として対象化して撮影することで(フェンスや窓があろうがなかろうが、一般的に写真を撮ること自体があちらとこちらを隔てる行為なのだろうけど、qpさんの写真は特にその性質が強い気がする)、qpさん自身は「あちら側」でも「こちら側」でもない別の場所に立つことになる。言ってみれば「あちら側」と「こちら側」を相対化することによって、複数の写真による映画的でダイナミックな構成が可能になる。