昨夜は部屋に戻ると布団が敷きっぱなしだった。昨日は昼すぎに起き、ぼんやりしていたところに電話がかかってきて、あわてて出かけたのだった。もろもろ夜の作業を済ませたのち寝床に就くと、1日敷かれていた布団が氷のように冷たい。床下からの冷気が染み込んでいる。この部屋に住み始めてからずっと冬の寒さには虐げられているのだけど、この床下からの冷気というのが馬鹿にならない。これまで1階に住んだことがなかったため、この脅威を脅威として意識化するのにはだいぶ時間がかかった。ずっと冬は敷き布団+毛布1枚と掛け布団2枚という構成で寝ていたのだけど、昨シーズンに初めて、体の位置は敷き布団と毛布の間ではなく、毛布と掛け布団の間にしたほうが、体感として暖かいということに気づいた。それは僕にとってコペルニクス的転回とでも言うべき発見だった。しかし、また次の冬が来るまでに忘れてしまっていて、つい数日前に思い出したことでもある。例えば料理における素材の組み合わせとか、日常的な生活のなかで発見と思えるほどのことでも、持続的に意識していないと案外忘れてしまうことは多い気がする。忘れてしまうということはもともと大したことではない、とは言いにくいほど発見的であると思っていても。