今日で31歳になった。午前2時を少し回ったころ、僕が18歳のとき初めてお目にかかった堀江敏幸先生に原稿の催促のメールを送る。あれから13年なんてまったく信じがたい。先生の講義を最初に受講した時のことは覚えていて、私が大学に入学してすぐ、教室は堀口捨己によるいまは無き1号館でした。初回の講義では、なぜ第2外国語でフランス語を選んだのかということを学生が順番に言っていったと思います。私がなんと答えたのかは忘れてしまいましたが、のちに親交が始まる同級生が「パリジェンヌと付き合いたいから」と言ったのは記憶にあります。それが彼を認識した最初だったので、私のなかでしばらくは、彼のことはその発言のイメージとともに捉えられていたような気がします。
その時から時間の流れを速く感じるというよりも、時間の流れを感じない。それは大学に入って以来、人付き合いや活動範囲がある程度連続的なせいだろうか。過去の時間のいつを思い浮かべたら現在までの時間の流れを感じにくいかと考えると、それはその18歳のころが最も顕著な気がする。あるいは1年くらい前も意外とそうかもしれない。テレビ番組によって気づかされる1週間前も時間の流れはかなり感じないけど、それと13年前の感じなさとは比べにくい。めずらしく心地よい類のセンチメンタルな気分で眠る気にならなかったので、13年前に公開された『東京日和』(1997)という映画をDVDで観た。