芝山努『ドラえもん のび太の魔界大冒険』(1984)をプライムビデオで観た。脚本が藤子・F・不二雄。幼稚園児だった頃、友達の家で観た映画版「ドラえもん」のビデオのなかで最もよかったという記憶がある作品。作り手の教養が感じられて、やはりよくできていると思う。いくつかのシーンはうっすらと覚えていた。石像が空から落ちてくるところ、庭の彫刻が動いて矢を放つところ、空飛ぶ絨毯に内部空間があるところ…。今の目から見れば(決して過激ではない)なんてことのないシーンだけど、それぞれのシーンが子供の心に残るようなものであることはなんとなく察せられる。明確な構造的アイデアを軸にしつつも、ストーリーやキャラクターを図式的にわかりやすく強調していくのではなく、観る人に様々に響いてくるような豊かな細部を積み重ねていく作り方。これは以前(2021年4月24日)このブログで触れたアニメ版『キテレツ大百科』にも通じる。