愛知県陶磁美術館(当初は資料館)が改修工事のため、2023年6月から2025年3月末まで休館とのこと。

ここは未訪問で、いずれ訪れてみたいと思っているのだけど、近年公刊された谷口吉郎の(網羅的な)作品リストにこの建築が記載されていないのはなぜだろうか。1978年竣工で、谷口は翌年2月初めに亡くなっているから、本人はあまり関わっていないということなのだろうか(さらに1990年代前半に山下設計によって大規模な増改築)。1981年の『谷口吉郎著作集』(淡交社)、1997年の『谷口吉郎展』(日本建築学会)には記載があり(しかしいずれも写真や解説はなく扱いは小さい)、1998年の『谷口吉郎の世界』(彰国社)、2014年の『[谷口吉郎・谷口吉生]の建築』(谷口建築展展実行委員会)、2019年の『谷口吉郎建築作品集』(淡交社)には記載がない。
写真を見るかぎり建物のかたちは割合と派手だし、規模もそれなりに大きく、全面的に谷口吉郎のボキャブラリーが使われてもいるので、たとえば同時期の栗本図書館(1978年竣工)がリストに記載され、こちらが記載されていないというのは、いくらか不自然な感じがする。
【追記】 聞くところによると、どうも谷口はコンペで1等に選ばれなかったものの、どういうわけか設計を担当することになったようで、そうした経緯を踏まえ、自らの作品としての積極的な発表は控えたというわけらしい。ただそうだとすると、最近の作品リストになるほど記載がなくなっているのはやはり腑に落ちないし、もうそのときからだいぶ時間も経つのだから、現在も体験できる貴重な谷口建築の一つとして、もっと大々的に扱われてもいいような気がする。