『精選建築文集1 谷口吉郎・清家清・篠原一男』の主な参考文献・引用文献。もともと持っていたものと今回買ったもの。これ以外に図書館の本もけっこう借りた。コピーはA4サイズで重ねると高さ30cmあまり。
『定本 小林秀雄』(河出書房新社、2015年)なんかは特に参考文献として挙げるべきものではないかもしれないけど、その本の冒頭部分の記述は編者解説を書く際の指針になった。

プラトンは、『パイドロス』のなかで、何ものかをめぐって話し、考える際に用いなくてはならない「分割」の方法について語っている。巧みな料理人は、獣の肉を扱うときに、その獣の「自然本来の分節[関節]に従って切り分けながらさまざまの種類に分割することができる」(265E)。これらの肉の「種類」は、それぞれが互いに持つ質の差異をとおして切り分けられ、いろいろな骨は、その自然なつながりを傷つけられることなく、すっかり肉から分離させられる。[…]下手な料理人は、肉の異質な層を斜めに断ち切り、骨に傷をつけ、骨格を破壊する。彼には肉の「種類」が持つ何ものも顕われてくることはなく、要するに彼は、獣の持つ「自然本来の分節」を観ることがない。だが、これは興味深い点だが、下手な料理人のこうした振る舞い方は、それ自体においては、なかなか勇ましく能動的な外見を示すことである。彼は目の前の肉に対して、彼自身の意志で、強く積極的に働きかけているかのように振る舞う。ところが、彼がしていることは、多かれ少なかれ肉の否定、骨格の消去であり、獣が何なのかをとうとう分からなくしてしまうことである。これに比べれば、巧みな料理人は、もっとはるかに受動的な様子で振る舞う。(pp.7-8)

3人の文章の解説/読解をするにあたり、巧みな料理人のように完璧に肉をさばくことはできないとしても、できるだけその方向を目指す。これ以上は難しいというところでは踏みとどまり、下手な料理人のように素材を傷つけてしまうことは避ける。