昨日はその後、原宿のBlum & Poe Tokyoで、岡﨑乾二郎個展「TOPICA PICTUS Revisited: Forty Red, White, And Blue Shoestrings And A Thousand Telephones」(〜11/6)を観た。去年の10月に脳梗塞を患った岡﨑さんの新作展。脳梗塞の件はたぶん他の多くの人と同様、今年2月にFacebookのご本人の投稿(2022年2月20日、友達限定公開)で知ったのだけど、まだ入院中で先の見えないリハビリの最中にもかかわらず、その文面の意外な明るさにむしろこちらのほうが勇気づけられる思いがした。

一旦自分のものではなくなった(物体になった)身体(その小さな部分がわずかひとつひとつですが)と再び(というより新たに=新しい回路が生まれ)交流がはじまることの驚き、と嬉しさ。一旦はアーティストとしての活動を諦めはじめてもいましたが、今は全く新しくはじめ直せるという自信が生まれてきました。日々、希望は大きくなっています。

病後1年も経たずに展覧会を行うこと自体がまず驚く(喜ぶ)べきことなのだろう。しかしそれだけでなく、病気を経たからこその新たな作品の展開を期待してしまう気持ちもあった。そして実際、それは確認できたような気がする。まあ厳密には病気によってもたらされた変化かどうかは分からないけれど、特にギャラリーの事務スペースのほうに展示された作品に、最近の「ゼロ・サムネイル」シリーズにおける新しい展開を感じた(展示作品は撮影可だったけど、事務スペースのほうは気後れして撮らなかった)。
岡﨑さんの展覧会は、南天子画廊でもTakuro Someya Contemporary Artでも、通常の展示スペースだけでなく、事務スペースにも作品が展示されていることが多いというか、それが可能なときはほとんど必ずそうしているという感じさえする。たぶんその領域の越境は、岡﨑さんの創作のあり方と深く関係したことなのだろう。