新宿のSOMPO美術館で「モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」を観た(〜6/6)。モンドリアン(1872-1944)は建築の分野でもモダニズムの象徴として語られる画家だし、一度まとまった量で観てみたかった。印象と抽象が混じるような初期の作品に惹かれる。

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  • 《乳牛のいる牧草地》1902-05年

後年の有名なコンポジションのシリーズも、こういう初期からの変遷のなかで見ると印象が変わってくる気がする。一般に単純な要素を構成することで成り立つ作品は、それぞれの上手い下手はさておき、作り手があたかも万能の創造主のように感じられるけど(卑近な話、自分で雑誌のレイアウトをしているような時でも)、少なくともモンドリアンの最初はそうではなかった。むしろ反対に、主体の外部の自然や神が絶対的なものとしてあったらしい。そのことが後期の作品とどう関わるのかはよく分からないけれど、同じデ・ステイルのグループで似たように見えても、たとえば建築や家具の具体的な部材を前提にしたリートフェルトの作品とは根本が異なるのではないだろうか。建物の絵やリートフェルトの椅子(5脚、豊田市美術館所蔵)もあったので、建築の人にも薦められる展覧会だと思う。SOMPO美術館の後、豊田市美術館に巡回。