このまえ紹介した映画配信パック(5月22日)に申し込み、12本の映画をすこしずつ観ている。しかし『イタリアは呼んでいる』と『嘆きのピエタ』は最後まで観る気になれず、『めぐりあう日』と『いとしきエブリデイ』もぴんとこなかった。もともと知っている作品以外ではアラン・レネの遺作『愛して飲んで歌って』(2014)に見応えがあったくらいだったのだけど、今日観たミア・ハンセン=ラブ『未来よ こんにちは』(2016)はとてもセンスがいい映画で新鮮だった。インテリが好みそうな要素がたくさん含まれている。この監督の作品は初めて観たけれど、オリヴィエ・アサイヤスと結婚していた人なのか(2009〜2016年)。それを知ると、この作品が革命(に憧れること)をいくぶん冷ややかに描いていたことに特別な意味を見出したくなってしまう。
ミア・ハンセン=ラブは「エリック・ロメールの後継者」とも言われているらしい。確かにロメールも革命に批判的だったと思う(『グレースと公爵』)。他にもいろいろ通じるところはある気がするけれど、パスカルをはじめ、哲学を多く映画に取り込みながら、この映画それ自体は必ずしも哲学的ではないという点はロメールとの差異に思える。もちろん映画が哲学的である必要はないから、これは別に批判ではない。この作品が哲学的でないというより、ロメールの作品が幾何学的で論理性・抽象性が高いということかもしれない。