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『たかぎみ江 作品集 1993-2018』(監修・編纂=平塚桂、A5判、96ページ、2019年1月6日発行、非売品)を読んだ。去年の9月に亡くなった、たかぎみ江さん(ぽむ企画)の文章やイラスト、活動の足跡の紹介と、関係が深かった人たちの寄稿文によってまとめられている。僕はたかぎさんとは10年ほど前に一度会って話をしただけなのだけど、その後たかぎさんに書いていただいた『建築と日常』No.2()でのアンケートの回答文「建築は誰のものか」が収録された関係で、1冊送られてきた。
ぽむ企画の相方である平塚桂さんは、たかぎさんについて下のように書いている。

 このように何ごとも自分のフィルターを通し、すぐれた表現へと昇華していた一方で、世に広く認められたいという欲求は、あまりうかがえなかった。学部時代のレポートも、自らの披露宴も、企業広報も、家族にあてたノートも、み江さんの“作品”というのは、一貫して目の前の人を惹きつけ、喜ばせるためにあった。それは仕事の共同者からすると歯がゆく感じることも多かったのだが、おもえばそれも、作品の懐の深さや普遍的な魅力につながっている気がする。

  • 平塚桂「作家 たかぎ み江 について」『たかぎみ江 作品集 1993-2018』

僕自身たかぎさんのことをよく知らないなりに、「歯がゆく感じる」という言葉の重みも含めて、この指摘には共感できる気がする。ある種のアマチュアリズムの脱領域性や強い主体性、日常性が、たかぎさんの仕事の基礎にはあったのだろうと思う。そういう人は建築のメディアであまりいない。