東京都葛西臨海水族園12月24日)の6年後に竣工した葛西臨海公園展望広場レストハウス(設計=谷口吉生、1995年竣工)。駅からのアプローチではこちらのほうが先に軸線上に見えてくる。建物の向こう側はまだ200メートルくらい公園の陸地が続いてから東京湾に至るのだけど、建物の手前がなだらかな上り坂、その奥は逆に下っていることで、向こう側の景色が予想できず、この建物があたかも領域を区切る透明な境界線であるかのように感じられる。その目を見張るほどの透明感・軽快感は、単にガラス張りだからというだけでなく、建物のプロポーションや部材の構成方法とも関係しているのかもしれない。
ただ、そうした外観の魅力の一方で、内部に入ってみると白色系の仕上げに部分的な汚れや痛みが多く目についた。これは東京都の管理の問題でもあるにせよ、敷地は海を臨む吹きさらしのような場所だし、設計者はすでにこの建物以前に水族館のほうを手がけてもいたのだから、設計の段階でメンテナンスの大変さは十分予想できただろうとも思われる。ガラス張りの温室のようなつくりなので、夏の暑さもかなり厳しい気がする。そのあたりの大胆な割り切りをどう捉えるか。
以下、写真4点。谷口吉生さんの建築は、水平垂直のいわゆる建築写真向きだと思う。アマチュアだとボロが出やすい(そう考えると谷口吉郎の建築は、杓子定規の水平垂直だとその空間の質を捉え損ねるようなものかもしれない)。