神奈川県立近代美術館葉山館「アルヴァ・アアルト──もうひとつの自然」展と、コレクション展「描かれた「建物」」を観た(〜11/25)。アールト/アアルトのカタカナ表記のぶれは徐々にアールトで統一されつつあるのかなと思っていたけれど、あるいはアールト製品を販売するArtekやiittalaの商標的な問題も関わっているのだろうか(上の写真はその両社の全面的な協力による特設コーナー「アアルト ルーム」。リンク先(2015年8月1日)の写真と同じ窓)。今となると、アアルトという表記にはなんとなく変なこだわりを感じてしまう。
アアルト展のほうは数年前に撮り下ろされたらしい写真(Armin Linke)に新鮮な印象を受けた。独立した写真作品としても見られる質があると思う。ただ、自分で実際の建物を見ていたり、アールトにもっと思い入れがあったりしたら、多少欲求不満にさせられる写真かもしれない。
連動するコレクション展も思いのほか充実していて面白かった。阪本文男、津田正周、関合正明など、これまで名前を知らなかった画家たちの作品にも目を引かれたし、ヘンリー・ムーアの『ストーンヘンジ』の連作(リトグラフ)も見応えがあった。アアルト展も決して悪くはなかったけれど、こういった展示と並べて観ると、やはり「建築は実物を展示できない」という大前提の縛りを感じさせられる。アアルト展は東京その他にも巡回するようだけど、「描かれた「建物」」展はこの美術館のオリジナルだろうし、周囲の環境の良さも含めて、あえて葉山を訪れる価値はあるかもしれない。