今村水紀+篠原勲/miCo.設計《駒沢公園の家》(2011年竣工)を見学させていただいた。世田谷の住宅密集地に建つ一般的な木造住宅の増改築。築30年程度の既存家屋をガラスのスリットでふたつに隔て、さらに小ぶりのもうひとつを足した三部構成。



さまざまなメディアで目にしてきた作品だけど、実際に訪れてみると、ゴードン・マッタ=クラーク()のような日常の事物を切断する大胆な身振りよりも、それによって生まれる内部空間の楽しさのほうが印象深い。そもそも竣工時にあった隣地の畑にはすでに別の住宅が建てられていて、切断の身振りを一望する視点はどこにもない。隣地に住宅が建つことは想定どおりで、むしろ周囲を同じスケールの住宅で塞がれたほうが、この住宅の空間性が生きてくるのではないかと思われる。スリットによって分節された住宅の内部から周りの住宅の存在を感じ、自分たちのいる場所がある環境の広がりの連続のなかで認識される。以下さらに写真3点。