たまたま訪れた某所で、下記の本を購入した。一般販売はされておらず、僕自身も存在すら知らなかった。インターネットでもほとんど情報がないようなので、すこし詳しく書いておく。


志水英樹『回想1 シアトル21世紀万国博 回想2 ペンシルバニア大学 回想3 建築家ルイス・カーン

  • 私家版(限定1000部)、A5判183ページ、2014年2月20日発行、頒布価格1,500円
  • 「1961年から1967年までの6年間、シアトル21世紀万国博覧会ペンシルバニア大学、ルイス・カーン設計事務所で、私はこのうえなく充実した、幸運に恵まれた時間を過すことができた。本書はこの6年間を想い出すままに綴ってみたものである。」前書きより

事務所のスタッフ(フィラデルフィア・カレッジ・オブ・アートとフィリップ・エクセター・アカデミー図書館を担当)として接したカーンについての記述は、例えばペンシルベニア大学で教師と生徒の関係だった香山先生が描くカーンとはすこし印象が違っている。著者が過去にカーンについて書いた文章も3本収録。

カーンがやがて部屋に戻った時、当時世界中に広がっていた学生運動の話になって彼は私に聞いた。「私は、学生達の言ってることに、同感する所があるが、君はどう思うか?」。私は「私もそう思う。しかし、彼等は、理解するだけでは満足できない。必ず一緒に行動しようと言う」と答えると、彼は「それは私にはできない」と言って、「お前は大事なポイントをいつも一口で言うね」と言って抱きしめてくれた。(p.152)