最近DVDで観た映画。レンタル会員を更新した勢いでたくさん借りてしまった。溝口健二『元禄忠臣蔵』(1941/42)、アルフレッド・ヒッチコック『サイコ』(1960)、同『鳥』(1963)、フィリップ・ド・ブロカまぼろしの市街戦』(1967)、今岡信治『女教師N』(2002)、山下敦弘『土俵際のアリア』(2009)。
忠臣蔵は大まかな筋書きこそ知っていたけれど、たぶんこれまでに映画やドラマで観たことはなかった。先月の歌舞伎が忠臣蔵の一場面を描いたもので、ストーリーがまったく分からなかったから映画版を観てみたのだけど、その場面が含まれていたのかどうかすら分からない。映画自体は戦時下にもかかわらず、かなりの豪華な大作(考証者として武家建築で大熊喜邦、造園で小川治兵衛の名前があった)。忠臣蔵は確かに主君への忠義を描いた話ではあるけれども、さらに上位の幕府には反抗しているわけだから、これを国家が称揚するのは不思議な感じがする。
ヒッチコックは実はあまり馴染みがなく、この有名な2作も観たことがなかった。昨日書いたようなことでいうと、やはり思想が感じられずに接点を持ちづらい。『まぼろしの市街戦』は『映画空間400選』(INAX出版)で選出した作品。フランス(?)の古い石の街が存分に使われている。例の講義でもこの本を参照しつつ、ただただ映画を紹介するだけの回を設けたい。『女教師N』は、いまおかしんじの割と古いほうの映画で、ストーリーは比較的ベーシックな青春もの。『土俵際のアリア』はウェブで企画された連続ドラマのようだけど、大人が子どもを演じることでズレを見せるというアイデアは、同じ監督の『中学生日記』(2006)に通じる。ただ、そのアイデア以上に響いてくるものがあまりなかった。