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アテネ・フランセ文化センター(設計=吉阪隆正+U研究室、1962年竣工)で、いまおかしんじの『彗星まち』(獣たちの性宴 イクときいっしょ、1995)と『デメキング』(痴漢電車 弁天のお尻、1998)を観た。「映画一揆外伝~極楽篇~」としての特集上映。監督のデビュー作と第3作で、どちらも時代を感じさせるけど、『デメキング』のほうはすでにその後のいまおか作品の原型ができているように見える。
上映の合間に行われたトーク(いまおかしんじ×井土紀州)では、いまおか監督が「今日上映されている初期作ほど今は一作一作にすべてを懸けられなくなった」ということを言っていた。しかし創作以外の「運動」に寄ることもなく「孤独」に作品を作り続けることは、いまおか作品の本質に通底して、観客を惹きつける根拠にもなっていると思う。下記、会場で配布されたフリーペーパーより。今年公開予定の自主製作『れいこいるか』も期待。

もう過去のことは忘れて、今からだよ、スタートは。そしたら君らと一緒なんだよ。これから映画を作る人と同じ。キャリアがあったってさ、そんなの何の足しにもならないよ。だって、今までやってきたことは害にしかならないもん。ますますテンション上がることが少なくなってきてるから。一回目より二回目はテンション下がるでしょ? てことは、やったらやっただけ下がる。初めてやる人と勝負したら負けるよ。だから、今までと違うこと、初めてのことをやらなきゃいけないんだ。(いまおかしんじ)

  • 『破れかぶれ』第12号、2019年1月12日発行