ここ最近、家で観た映画。テッド・ポストダーティハリー2』(1973)、ジェームズ・ファーゴダーティハリー3』(1976)、ドン・シーゲル『テレフォン』(1977)、ジム・ジャームッシュストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)、同『ダウン・バイ・ロー』(1986)、北野武その男、凶暴につき』(1989)、黒沢清ニンゲン合格』(1999)、豊田利晃『I’M FLASH!』(2012)。
ダーティハリー」シリーズはやはりドン・シーゲル監督の第1作に尽きると思う。ジャームッシュの初期2作は学生のとき以来で観たけれど、この2作のうちどちらを好むかで、観る人の映画観や作品観が大きく分かれるような気がする。僕はたぶん学生のときと同様、どちらかというと『ダウン・バイ・ロー』のほうが響いてくる。『その男、凶暴につき』は初めて観た。たしかに監督第1作でこれを撮れるというのはたぐいまれな能力だと思うものの、はたして僕の人生と関係のある作品かどうか。『ニンゲン合格』もたぶん学生のとき以来。物語の非現実的な設定が単に非現実の世界をそのまま楽しませるほうに働くのではなく、むしろ現実の経験や感覚を刺激し、現実の範囲を拡張させる。それはこのまえ(7月15日)観た『岸辺の旅』(2015)も同じだと言える。『I’M FLASH!』も映画としての見応えはあると思うけれど、監督本人がこれを作る必然性をどこまで感じているのだろうという気もしてしまった。