ここ最近(といっても数ヶ月の間)、家で観た映画。ニコラス・レイ『大砂塵』(1954)、川島雄三幕末太陽傳』(1957)、フィリップ・ド・ブロカカトマンズの男』(1965)、ジョージ・ロイ・ヒル明日に向って撃て!』(1969)、ジョン・シュレシンジャー真夜中のカーボーイ』(1969)、イングマール・ベルイマン『叫びとささやき』(1972)、ジョン・カーペンター要塞警察』(1976)、ウディ・アレンブルージャスミン』(2013)。
何度か観ている『幕末太陽傳』以外は印象がおぼろげになってきているけれど、『大砂塵』、『叫びとささやき』、『要塞警察』は特によかったと思う。『大砂塵』で、この役者は『怒りの葡萄』(1940)でも見た気がするなと思って調べたら、実際に同じ役者だった。ジョン・キャラダインという人(『ペギー・スーの結婚』(1986)にも出ていたのか。それは気づかなかった)。『怒りの葡萄』も『大砂塵』も独特な役柄であり、妙に気になるところがあった。こんなふうに個別の役者に興味を惹かれることは滅多にないのだけど(特に海外の作品の場合)、略歴などを見ると、本人もわりと個性の強い人だったらしい。日本でいうと(あくまで僕のなかでは)伊藤雄之助のような人と重なるかもしれない。

『叫びとささやき』は簡単には言葉で表せない充実した作品。性も死も人間も、抽象的かつ現実的に表現されていると思う。『要塞警察』は暴力が中心的に描かれているけれど、おそらくジョン・カーペンターの他の作品と同じく、過度の刺激が求められているわけではない。警察署が激しく銃撃されるシーンの現実味のなさ、喜劇性が印象に残っている。