昨夜のうちに佐賀に入り、朝から《佐賀県歯科医師会館》を見学した。坂本先生の竣工まもない新作で、去年の『建築家・坂本一成の世界』()では計画案として載せていたもの。来月には雑誌で発表されるようなので、それまで写真の公開は控えておきたい。
下の写真は歯科医師会館の徒歩圏内にある《佐賀県立図書館》(1962年竣工)と《佐賀県立博物館》(1970年竣工)。どちらも設計は高橋てい一さん(第一工房)と内田祥哉さんの共同で、同じ佐賀城公園内に立っている。用途の違いも関係してはいるだろうけど、竣工年にして8年の差が時代の違いとしてかたちに現れているように見える。




確かにこの建物は、フィジカルな面ではこの土地の風土にとってある異和感を与えるものであろう。
そしてそのことは私たちのねらいのひとつでもある。この建物はついに、その風土になじむ時をもたないかもしれない。それでもいいと思っている。むしろ、この異和感が続く限りこの建物はこの土地に対する異物としての影響を与え続けるだろうし、またもし、この建物がこの街の新しい変化に埋没するような時があるとすれば、その時、この建物はその使命を終えたと、私たちは考えているのである。

  • 高橋てい一「佐賀県と博物館」『新建築』1971年3月号

佐賀県立博物館》は1970年度の日本建築学会賞を授与された作品。もともと佐賀県明治維新100年事業の一環として建設されたという。今は明治維新150年事業によって公園内の再整備が進んでいる。