インターネットの無料動画GYAO!で、ジョージ・A・ロメロ『ゾンビ』(ディレクターズ・カット版、1978)を観た。『映画空間400選』(INAX出版、2011)でも取り上げた古典だけど、ホラー映画が苦手なので今まで敬遠していた。しかし観てみるとさすが元祖(?)は違う。単に映画の観客を怖がらせるためのツールとしてではなく、ゾンビの存在が生き生きと描かれている(まさにliving dead)。ゾンビなるものが出現したとき、人間社会はどう現象するのか。そのことを日常の実感に根ざして、かつ物語としての面白さや批評性やユーモアを湛えながら表現している。こういうものが後に「ホラー映画」というジャンルに形式化され、形骸化していったのだろうなと思わせる。