赤瀬川原平さんの訃報。大学生のころに初めて著作を読んで、それから赤瀬川さんには決定的な影響を受けたのではないかと思う。僕は赤瀬川さんのような表現者ではないけれど、ものごとの考え方や表現を介した振る舞い方に魅力を感じつつ、芸術的なものに対する興味が広がるなかで、具体的な作家や作品をつないでいく起点にもなった。振り返ってみれば、おそらく僕のなかで赤瀬川さんの存在はかなり大きい。しかし単に大きな影響を受けたというだけでなく、赤瀬川さんの影響を受ける素地がもともと僕のほうにもあった、そんな個人的な必然性を感じさせる作家だったと思う。
出版社で働くようになってから、赤瀬川さんとは『イサム・ノグチ 生誕100年』(2004)と『ザ・藤森照信』(2006)の2冊で仕事をする機会をもてた。写真は10年前、イサム・ノグチ関連の取材旅行で香川を訪れた際に庵治石の採石場で撮ったもの。ここしばらくは赤瀬川さんの本からもすこし遠ざかっていたけれど、若いころに触れた赤瀬川さんの仕事を自分なりに辿り直すことは自分にとって意義深いことではないかと感じていた。ともかくふたつの展覧会を観に行きたい。