オリヴィエ・アサイヤス『カルロス』(2010)をDVDで観た。3巻組332分。カルロスと呼ばれる実在の国際テロリスト(→Wikipedia)を描いている。極めて質が高く、かつ力がこもった映画。ただ、70〜80年代に西側の資本主義陣営に対してテロ活動をしたカルロスを描くことが、そのまま現代の資本主義やグローバリズムに対抗するアクションになっていて、その映画としての直接性が実際に世界をよりよくすることに対してどれだけ有効なのかには疑問がある。ヒロイックに描かれたカルロスは(その「等身大の姿」の卑小さや落ちぶれ方も含めて)ロックスターのようにかっこいいし、そのようにカルロスを描く監督もまた同様にかっこいい。思想としては『夏時間の庭』(2008)みたいなものとも連続するのだろうけど、この映画のかっこよさは「不良」のかっこよさであって、僕には賛同しづらいものがある(関連→2012年11月5日)。