昨年11月に開催したイベント「〈つくる〉と〈生きる〉の関係」の特別編集版動画をYouTubeにアップしました。夏に発売した『窓の観察』の刊行記念として、著者のひとりである中山英之さんにご登場いただき、ゲストに映像制作集団「空族」の富田克也さんと相澤虎之助さんを迎え、さらに会場として岡啓輔さんの建設中の自邸《蟻鱒鳶ル》をお貸しいただいたイベントです。映像は降矢聡さんと久保田誠さんが、後日、《蟻鱒鳶ル》の追加撮影までしてまとめてくれました。3時間を超えるトークを45分に編集しています。特別な雰囲気のなかで行われたイベントだったので、映像としてどう折り合いを付けられるか不安もあったのですが、建物自体の紹介も組み合わせながら、イベントとはまた別の価値を持つ成果物にできたと思っています。

動画の制作は降矢さんにほとんど丸投げでしたが、もともとほんの記録映像として考えていたのが、久保田さんにも参加してもらいつつ、たった2人でこれだけのことができるということに大きな可能性を感じました。それはネットでの公開まで含めてのインディペンデントな活動の可能性でもあり、建築や空間を動画として捉えることの可能性でもあります。今回は準備期間もないままの作業でしたが、降矢さんも久保田さんもこういった仕事には積極的に関わっていきたいということなので、なにか映像を使って新しい試みをするような際には、2人に(1人でも)声をかけていただけると僕もありがたいです。具体的な企画のかたちが定まっていなくても、身軽に対応してくれると思います。

降矢聡:1986年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、早稲田大学芸術学校卒業(鈴木了二研究室)。共著書『映画空間400選』(INAX出版、2011)。

久保田誠:1983年生まれ。映像ディレクター/カメラマン(フリーランス)。監督作品『気楽な商売』(2009)、『タートルハウス』(2013)、美術『やくたたず』(三宅唱監督、2010)。