清水宏『按摩と女』(1938)、『簪(かんざし)』(1941)をDVDで観た。両方とも温泉宿が舞台のよく似た話で、ユーモアとペーソスと言ったらよいのか、僕の好みであるように思う。ただ、『簪』のほうは二番煎じという感じで、わりと無理がある。前に観た『港の日本娘』(1933)や『有りがたうさん』(1936)と同じく(2011年3月25日)、どちらも一本道が印象的に描かれていて、空間の捉え方が独特。とりわけ『按摩と女』は按摩(盲人)を主人公にしているのだから、単に視覚的なだけではない空間の表現をテーマ化していたのではないかという気がしてくる。