アマゾン経由でめずらしく洋書を購入。10月から日本工業大学の大学院で「建築文化リテラシー」というタイトルの授業をすることになり、その準備をしないといけない。建築をテキストや写真や映画といった他のメディアとの関わりのなかで捉えてみたい。

人々は、一つの分野で熟達しているのを根拠にして、己自身を文化人だと見なしがちである。ところがこういう場合、人々はほかの諸分野に関しては無知であるのみならず、無知であることが意識に上りさえしないのである。いかなる分野の芸術家であっても、たとえ非常に偉大な芸術家であっても、ただそれだけでは、文化ある人とはいえない。芸術家というものは、自分の専門分野以外の芸術に対して鈍感なだけではなく、時として粗暴に振る舞ったり、知的能力において貧寒であったりもする。一分野のみで文化に貢献している人間は、たとえその貢献がどれほど重要なものであっても、「文化人」であるとは限らないのである。