nobody38

『nobody』の最新38号を読んだ。特集されている三宅唱『Playback』(2012)と小特集のロベール・ブレッソン『白夜』(1971)はたまたま両方とも観ており、やはりそのほうが読み応えもある。建築雑誌は読者が観たことがない建築を載せても問題ないけど、映画雑誌はその映画を読者が観たことがあるかどうかが問題になるから大変だと思う。
と言いつつ、田中竜輔編集長による巻頭言では建築雑誌のようなことが書いてあった。

[前略]家を建てたい。誰かのものではなく、しかし誰のものでもあるような、いつでも帰ることができ、いつでも旅立つことができるような、どこを所有するでもなく、あらゆる場所にあるような。そんな家を建てるために、私たちは雑誌をつくっている。

『Playback』の特集にはこの志が感じられた。そもそも記憶や経験、故郷をテーマにした『Playback』という映画自体にこのような質が内在しているのだろう。城内政芳×平島悠三「みんなの『Playback』!」という記事がよかったのではないかと思う。