先週の土曜にこれはいよいよまずいなと思って避難用の荷物をまとめようとしたとき、1冊だけ鞄に入れた文庫本が内田百閒の『東京焼盡』(中公文庫)だった。もうすこし落ち着いて考えれば別の本になったかもしれないけど、その縁起でもない名前の本がとりあえずなにかの足しになるのではないかと思ったのだった。太平洋戦争中の東京での日記。

○ナゼ疎開シナカツタト云フニ行ク所モ無カツタシ又逃ゲ出スト云フ気持ガイヤダツタカラ動カナカツタ
○何ヲスルカ見テヰテ見届ケテヤラウト云フ気モアツタ

結局その避難用の荷物はまだまとめられていないのだけど、今日の昼間に本をぱらぱらとめくってみたとき、そういえば学生のころにこの本についてなにか書いたなと思って、パソコンのなかを探してそれを見つけた。映画の本も発売されることだし、せっかくなので、恥ずかしながら(ほんとに)そのまま下に載せてみる。いま書くとしたらもっと違う書き方をするだろうけど、関心や考え方自体はたいして変わっていない。

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