昨日、日本橋髙島屋から汐留ミュージアムまで歩いて行く途中に立ち寄ったJPタワー(三菱地所設計、2012年竣工)の屋上庭園から撮影(地上38階のうちの6階部分)。タクシーが通るタイミングを狙ってシャッターを切った。初めて入ったJPタワーは、逓信省で吉田鉄郎を中心として設計された旧東京中央郵便局(1931年竣工、2009年取り壊し)の跡地に建てられている。最近すこし吉田鉄郎について調べている。

 草葉の陰にいる吉田鉄郎は、こういううごきをどううけとめるのだろう。たとえ、局舎の保存がかなったとしても、あまりうれしくないのではないか。
 市民は、のこすことをもとめていない。自分がつとめていた旧逓信省、今の日本郵政ももてあましている。ただ、自分の名をふりかざす日本建築学会と一部政治家によって、保存の途がさぐられる。そんななりゆきを見れば、たぶん心がいたむと思う。
 もういい、ほうっておいてくれ。あの建物は、一定の役割りをはたしおえた。しずかに、とりこわしてくれればいい。私のことも、あまりたいそうにあおりたててくれるな。はずかしくて、たまらない。
 かってな想像だが、おそらくそうしりごみをしてしまうのではなかろうか。もし、その人となりが、日本建築学会のいうように「高潔」であるのなら。

  • 井上章一「吉田鉄郎──保存をめぐる政治学」『現代の建築家』エーディーエー・エディタ・トーキョー、2014年