ピーター・ファレリー&ボビー・ファレリー『ホール・パス──帰ってきた夢の独身生活〈1週間限定〉』(2011)を観た。深夜に地上波のテレビで放送していたもの。だいぶ前からうちのアパートメント全体でケーブルテレビに加入しているのだけど(無料のチャンネルでは大した番組はやっていなさそうだったし、観始めて止まらなくなったら困るから、チューナーはコンセントから外して、リモコンにも電池を入れずに放置していた)、最近そのチューナーが交換されて、ハードディスクに録画する機能が新たに付加された。そうするとあまり興味のない映画でもつい録画してしまい(番組表画面からワンタッチ)、録画してしまえばくだらない映画でもつい観てしまう(2倍速にしても字幕は表示されるので便利)。僕の以前の録画体験はVHSの時代にまで遡るので、このデジタル的な記録性のあり方がことさら新鮮に感じられる。
VHSの録画では、映像をコピーするといっても、一方にはあくまで物体としてのテープがあり、コピーの過程でなんらかの変質(劣化)が起きているという意識があった。デジタルの録画では(実際どうであるかは別にして)その意識がまったくない。このことは、音楽においてCDからテープへのコピーがCDからCDへ、あるいはCDからiTunesへのコピーに替わったこととパラレルかもしれないけれど、ただ音楽の場合には、自分で選んだ特定のCDをレンタルしたり、音声データで購入したりするという行為を介していたのが、ハードディスク録画の場合は、放っておけば流れ去ってしまう無数のテレビ番組を無料で自由にピックアップし、ストックできるという万能感が新しい。