『大豆田とわ子と三人の元夫』(6月3日)、最終回の手前の第9話。理想的とさえ思える変化を受け入れず、死者の声を聴き、死者とともに生きることを選択する。一方で個人主義であり先進的な生き方もしている聡明なとわ子は、根本において揺るぎなく保守的でもある。とわ子は現代人だから、ありえたかもしれない別の人生が見えてしまうけれど、その美しい空想の幸福を追い求める(あるいはそれを逃したことを悔いる)ことはどうやら死者が許してくれそうにない。死者が現にそこにいるのだから仕方がない。いないことにはできない。自分は自分の宿命を生きる。
現代において善く生きるということとは? テーマが限定されることを拒むような豊穣さをもつドラマだけど、中心にあるのはその問いとひとつの回答ではないかという気がした。