アルフレッド・ヒッチコック『ロープ』(1948)を観た。映画の空間という観点で、建築の講義でよく題材にした『裏窓』(1954)と対になるような作品かもしれない。『裏窓』は中庭型アパートのあちらとこちらで事件が展開するのに対し(並列関係/視覚的)、『ロープ』は高層アパートのペントハウス内部でボックス・イン・ボックス的に事件が展開する(包含関係/想像的)。『裏窓』は別々の時間に撮られただろう複数の映像を組み合わせることで一つの空間を起ち上げているのに対し(映画的)、『ロープ』は全編がほとんどワンシーンで、カット割りが極端に少なく、物語内の時間と映画の上映時間(80分)を同期させていることが実験的な試みだったらしい(演劇的)。