この3ヶ月ほど、毎週「コタキ兄弟と四苦八苦」(テレビ東京)という深夜ドラマを観ていた。1話40分弱で全12話、脚本が野木亜紀子で監督が山下敦弘。多彩なアイデアと複雑な構成が絶妙なバランス感覚で成り立っていて(部分と全体、ファンタジーとリアル、自然さとわざとらしさ、ベタとずらし、おふざけとマジ…)、脚本、キャスティング、演出、演技、美術、音楽、どれもが高いレベルで融合している。基本的に1話完結で気楽に観られつつも、精密なパズルのように組み立てられた全12話でドラマチックな展開に引き込まれ、また日常世界のベタなコメディ(しかし現代的で軽妙な)で楽しませつつ、その世界がより巨視的に現代の社会問題とかけ合わされる。そのテレビドラマとしての完成度の高さに感心させられつつ、俯瞰的・相対的な構成の手つきを前面に見せる作品の常として、物語に没入する体験は生まれづらいように思えるけれども、それでもきっちり涙を誘うような場面も仕込まれている。エンディングの歌もドラマにマッチしていてとてもよく、それがまたスターダスト・レビュー(結成40年あまりの時代がかったベテラン)というところが唸らせる。とくに登場人物同士のこころが入れ替わる第8話が出色だった。