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東京国立近代美術館「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」を観た(〜2/2)。たとえば「写真における建築」というテーマの企画を立てたとき、世の中には建築が写った写真が無数にある(ありふれている)という事実がメリットにもデメリットにもなる(2018年11月16日)のと同様に、「芸術における窓」というテーマの企画でも、世の中に窓を含む作品は無数にあるということがメリットにもデメリットにもなるのだと思う。とくに実物を扱う展覧会というメディアで難しいのは、「この作品は窓の存在がそれほど深く本質に関わってはいないけれども、悪くない作品だし、借りやすい(あるいは所蔵しているので借りる必要がない)から出展しておこう」といったような現実的な選択肢が多々あることではないかと思われる。そういう選択が積み重なると、個々の作品の良し悪しとは別に、展覧会全体のテーマはぼやけてしまう。その一方、実物の作品をよそに、比較的自由に図版を集めやすい年表のような展示物にむしろ「芸術における窓」の濃密なイメージを感じてしまったりもして、それはそれで抽象化されたテーマ主義に自分が囚われているような気もする。
ミュージアムショップでは関連図書として『窓の観察』()も並べてくれていた。
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