古谷利裕さんの『虚構世界はなぜ必要か?──SFアニメ「超」考察』(勁草書房、2018年)の刊行記念イベントとして行われたトーク、古谷利裕×上妻世海「虚構と制作」をRYOZAN PARK 巣鴨で聴いた。私的な会話を除き、今まで僕が聴いた古谷さんのトークのなかで最も面白かったかもしれない。上妻さんの微妙に気を遣いながらもあくまでずけずけとしたツッコミが、古谷さんの知的な構えを崩し、その思想の輪廓を浮かび上がらせていたのではないかと思う。上妻さんが指摘したように、古谷さんの「虚構(フィクション)」という言葉の使い方にはやや無理があるように思えたけれど、そういう上妻さんの新世代的な明晰さに共感する一方、古谷さんが見せた旧世代的なたどたどしさ、割り切れなさにも共感する。