まだあまり執筆経験がない若い書き手の原稿に朱字を入れている。ここ数年、桑沢デザイン研究所()や日本工業大学()、神奈川大学()の学生を相手にしつこく作文の添削をやったせいもあってか、それなりに厳密な校正をまだ若いうちに一度でも経験しておいてもらうことは、単にその文章あるいはその書き手のためというだけでなく、より文化的・公共的なレベルで意義があることだと感じられるようになってきた。単純な誤字脱字や言葉づかいの誤り、文章の形式や論理展開の不具合などを超えたところまで踏み込んだ指摘は、校正者自身の認識や主観が問われることにもなってくる。