別冊『窓の観察』()や『建築家・坂本一成の世界』()で写真を撮ってもらったqpさんが、最近旅行したオーストリア&チェコのアール・ヌーヴォー建築(アール・デコも?)の写真をブログに載せている。ぜんぶで90点あるらしい。建築と装飾、照明。

少なくとも日本で建築史の教育を受けると、アール・ヌーヴォーはモダニズムに至る歴史の流れのなかで、前段階や過渡期のスタイルという認識を持ちやすいのではないかと思うけど(外国ではどうか分からない。モダニズムの進化論的な歴史観はそもそもヨーロッパ発だろうけど、アール・ヌーヴォー建築の実物が身近に存在する環境では、そうした観念的な歴史観は自ずと相対化されそうな気がする。たとえば日本で、現実の銀座和光が中銀カプセルタワービルより必ずしも「遅れている」と感じさせないように)、こういう写真(形式的な建築写真ではなく、単なる素人の観光写真でもない、建築への興味を主体的に持ちつつも、ある種の歴史主義とは一線を画したアマチュアリズムの写真)を観ると、そういった無自覚の歴史認識を反省させられることになるかもしれない。「作品はそれ自体として鑑賞するものではなく、前後との関連によって興味が持たれた」という、このまえ(3月11日)引用したゴンブリッチの論とつながってくる。